305億円「つくば市総合運動公園」基本計画を白紙に戻すべきN個の理由

  • 最終更新 2015年 8月 3日:N=16



 

つくば市の、人口20万人ちょっとしかいないのに、建築に300億円もかかる総合運動公園を、駅から車で15分もかかる場所(しかも市長経営の病院のすぐそこ)に建てるかどうかを決める住民投票が8/2にあるので皆さん参加をお願いします 」@95cb氏のtweetより)

つくば市で、総合運動公園の基本計画の賛否を問う住民投票が告示された。最大の争点は総事業費305億円とその立地だ。
私自身は、 総合運動公園基本計画は白紙に戻すべきだと思う。以下にその理由をリストアップする。
 
 

理由1:駅から遠くはなれた建設予定地(=つくば市長が経営する病院の隣)

まず第一に・・・、

つくば市総合運動公園の予定地が、市長が経営する「いちはら病院」の隣の土地

・・という時点で普通の感覚ならアウトだと思う。
総合運動公園の建設が決まったら、税金で病院付近の道路を整備したり、バスの便を増やしたりするはず。利益誘導のそしりは避けられないだろう。(参考: 総合運動公園予定地といちはら病院の位置関係 ・・掲示板つくば市総合運動公園について考える2より)

そもそも、1.5万人規模の集客施設としては、極めて立地が悪い。

つくばエクスプレスつくば駅から8.3キロ。駅から徒歩で行くのは無理である。総合運動公園予定地がつくば駅からどのくらい離れているかについては次の図が参考になる


徒歩が無理だとすると、バスはどうか?自家用車ではどうか?

「想定している1万5千人規模のイベントがあったら、現存するすべてのバスを動員しても足りないし、ピストン輸送で時間がかかりすぎる。では、車で行けるのか?発表された計画では駐車場は1,360台分しかありません。仮にみなが4人乗りで来たとしても、5,500人ほどです。残りの1万人近くの人の駐車場はありません。(いがらし立青の学べるニュース 運動公園特集号 )」

実際、バスのピストン輸送だけで1万5千人規模の移動を行うと地獄になる。このことは、つくばマラソンの経験を考察したこの記事が分かりやすい(「キャバクラと市長、市議会議員の共通点(つくば市総合運動公園計画での事例)」より)。

以上まとめると、
 あの場所では、徒歩でもバスでも自家用車でも1万5千人の移動はかなり難しい、
ということになる。
大規模スポーツ施設を作るなら、駅からの徒歩圏に作るべきだ。

「専門家は口をそろえてスポーツ施設はアクセスのし易さが重要だということを指摘します。その思い切り逆を行っているのが現在の計画です。駅から歩いていけないような場所に大型の競技場を作っても使えないということです。」(いがらし立青の学べるニュース 運動公園特集号

「月2回スタジアムに通ってる経験から言うと、駅からバスで気軽に行けるのはせいぜい2kmくらいまでだと思う。いざというときは歩ける距離。/そもそも今から大規模スタ作る必要性あるの? /(@Duke_rajendra氏 )」

 
 

理由2:運動施設「ウェルネスパーク」から車で4分のところが予定地

総合運動公園の予定地から車で4分のところに、4年前に作ったばかりの総合運動施設「ウェルネスパーク」がある。
ウェルネスパークもプールが有り、トレーニング施設、サッカー場、温浴施設、ランニングコースが完備されている。

運動施設のすぐ近くに、なぜ、新たに運動施設を新たに作る?非常に効率の悪い税金の使い方だと思う。
いちはら病院の近くに運動施設をたくさん作りたいということだろうか?



 
 

理由3:東京ドーム8個分の公園を、305億円かけて、人口20万足らずのつくば市に建設

しかも、つくば市は、ライフサイクルコスト、つまり、製造・使用から廃棄まで総合して考えた費用について、まだ、計算していないということが明らかになっている(6/28の懇談会)。

過去の公共施設の例で言うと、建設コストは3割なので、

解体費用をまで含めると1000億円を超える

ことが予想されている。

もともと、「小中学生のための陸上競技場」を作るはずだったのが、市原市長主導の下、いつのまにか、305億の巨大施設の建設に化けていた。

一万五千人収容の競技場や五千人収容の体育館が、小中学生のための施設なのか?

国から補助金140億円をもらう皮算用をしているが、もらえる根拠がない

つくば市の計画では、建設費305億円のうち140億円は、国から補助金貰えることにしている補助金の見積もりは事業費全体の46%だ。
しかし、補助金をどの程度もらえるのかは非常にあやしい。

市長は「国の補助金や借金を使うから大丈夫、市の負担はあまりない」と説明していますが、国の補助金が満額もらえる確証などありません。通称「まちづくり交付金」と呼ばれる補助金の獲得を考えているようですが、こんな大規模な計画で支払われている事例はほとんどないそうです。
http://www.tsukuba.link/archives/41.htmlより)

実際、市長が140億を皮算用した根拠はほとんどなかったらしい↓。

3月の市議会でも、この根拠について議員たちから厳しい追求をされていたのですが、市側から明確な答弁はありませんでした。
・・・・
市長も「いくらもらえるかはわからないけど、ゼロということはない」(4月14日内外情勢調査会講演)という衝撃的な発言をしています。
いがらし立青の学べるニュース 運動公園特集号

つくば市単独で305億円全てを支払う、というのは計画として無謀すぎるので、「国の補助金」を半分ぎりぎり(46%)まで「もらえることにした」のだろう。

しかし、新国立競技場問題など東京オリンピックで予算が逼迫している日本政府が、今後、どれだけ補助金を出してくれるのだろうか。

また、そもそも、国の補助金も国民の「税金」である以上、費用対効果の薄いハコ物に巨額の補助金を使うべきではない。

 
 

理由4:巨費305億円投入の理由は?→「世界のつくばだから」

TBS「噂の!東京マガジン」で、「305億円の大型施設を作る理由」を尋ねられた松岡嘉一議員の回答がかなり衝撃的だった(4月26日放送)。

 世界のつくばですから
 あの程度の総合運動公園が必要。
 他の市町村にある以上の物を造らないと意味がない。

もはや、巨大なハコ物を作ること自体が自己目的化している。
何のための施設だろう?メンツのため?



 
 

理由5:維持管理費と地方債返済で、毎年約10数億円の出費が必要

事業費の「305億円」には維持管理費が含まれていない。
市は、維持管理費を3億円と見積もっているが、維持管理費は少なく見積もっても5億円を超えることが予想される。

「市は維持管理費は年間で3億円という見通しを発表していますが、どういう試算がされたのか疑問です。水戸にある笠松運動公園で5億円、規模で言えばつくばが予定しているものよりはるかに小さい33ヘクタールですから、4分の3くらいです。」
http://www.tsukuba.link/archives/39.html より)

さらに、地方債の年間の支払いは6億円前後となる見込みだ(これは、市長自身が言っている)。

つまり、

  • 維持管理費とあわせて、総合運動公園のために毎年必要な金額は10数億円となる。

さらに、

  • もし国の補助金140億円(46%)が出なかった場合は、市民の年間負担はさらに跳ね上がることになる。

 
 

理由6:「税金は上がらない」という明らかな嘘をついている

広報つくば」では、

  • 総合運動公園を造っても「市民税」や「固定資産税」は増加することはない、

と「負担は増えない」と断言している。

しかし、市民税・固定資産税以外が値上がりする可能性については、広報つくばではあえて書いてない。(せこい・・)。

実際、つくば市では、市民の負担として、以下のものが上昇傾向にある。
つまり、「負担は、今だって、明らかに増えている」

  • 国民健康保険料は、ここ数年値上げが続いている。茨城県で4番目に高い。ちなみに、料率を決めているのはつくば市
  • 介護保険料も値上げが続いている
  • 今年の4月には上水道の値上げも決まった
  • 下水道料金も数年前に大幅値上げされた
  • 都市計画税という新税もつくばで導入された。つくば市民は固定資産税に追加で支払う必要がある。

いがらし立青の学べるニュースより)

逆に言うと、増えないのは「市民税」や「固定資産税」だけだ

いちはら病院の隣に建設する限り、ほとんどの市民にとって、総合運動公園は一年に一回使うかどうか分からない施設だ。運動公園の地方債返却と維持管理費に毎年つかう十数億円は、年金・介護保険料・上下水道料金の負担軽減に使った方が、ほとんどの市民にとってはメリットがある。

市長の言うように、つくばの財政が本当に余裕のあるのなら、運動公園に使う10数億円を使うのをやめましょう。そして、たとえば、都市計画税を軽くしませんか?、

総合運動公園より、まず、上記の負担を減らしませんか?

 
 

理由7:「30年ローンだから直近の負担はない」と胸を張っている

つくば市総合運動公園基本構想では、

  • 国の補助金を除くと、事業費のほとんどは地方債(30年ローン)。
  • その結果、一般財源の負担は全体事業費のたったの約5パーセント。一年あたりの負担はたいしたことないですよ!

と胸を張っている。
つくば市長も方々の懇談会で「30年かけて返済するので負担はない」と強調している。
 
しかし、30年ローンを組む、ということは、「負担が軽くなる」のではなくて「子供・孫の世代に負担を回している」のである。問題は、子供・孫の世代に負担を回す価値がある施設かどうかだ。
 
また、つくば市は、市の借金が減っていることを宣伝している。例えば、「広報つくば臨時号」では、平成17年からの10年間で借入金の残高が順調に減っているということをグラフ付きで説明している。
 
しかし、これは一般会計だけの話である。実際には、特別会計等も含めたつくば市の借金の総額は、

  • 平成16年度 1577億円

 ↓↓↓↓

  • 平成25年度 1504億円

とほとんど減っていない(しかし、なかなかの借金の額・・)。
つくば市の市債残高は実は少ししか減っていないことが判明!(研究学園の生活)より)

 
 

理由8:「予算不足」という理由で、保育所も学校も街灯も足りていない。道路はデコボコのまま放置されている。

懇談会では、「人口も増えるし、つくば市の財政は堅調だ」といった説明がよくなされていたが、これまでのつくば市の対応を見ていると、とてもそうとは思えない。

実際、保育所、学校は慢性的に不足して老朽化が目につくし、街灯は少なく、そして、各所にある道路の凸凹の酷さは長年市民の不満だった。

これらへの改善要求に対して、「予算面で厳しいから」という言葉をこれまで何度つくば市から聞いたことか!

それだけに、300億のプロジェクトの話を聞いてひっくり返った市民は多かったと思う。「お金がない」「お金がない」と言っていたのに、ハコ物ならお金がポーンと出るのね。

暗闇都市つくば:街灯不足問題

つくば市、特に、筑波大学周辺には、街灯の無い暗い道が多く、女性を狙った路上わいせつ事件が多発して来た(参考:暗闇都市つくば)。つくば市には「街灯を増やして欲しい」という要望がずいぶん前から提出され続けていたが、市からの回答は一貫して「予算不足で難しい」だった。

「電気を引かなくて済むソーラーパネル付きの防犯灯は通常の5~10倍の値段で、設置工事にも費用がかかる。一カ所にお金をかけるわけにもいかず、申し訳ないが設置は厳しい(つくば市危機管理課)」。
筑波大学新聞より

大通り、研究所や大学の境界に面した歩道・自転車道は、通勤者や通学者の利用が多いにもかかわらず、街灯が少なく、夜になると真っ暗となり危険である。街灯の整備の必要性は、ここ数十年来指摘されているが、改善は一部分にとどまっている。

街灯の設置費用は1つあたり数万円~数十万円の単位だ。総合運動公園の維持管理費と地方債返済に毎年約10億円ポーンと出せるのなら、街灯など短期間で大部分解決できたはず。

いくら利権があるからと言え、ハコ物になると、突然、億単位の大盤振る舞いになるのはおかしい。

※ちなみに、最近、13本だけ街灯がついたようですつくば市に「たくさん」街灯を設置してもらってよかったね(涙)。

「予算不足」で、保育所、学校が不足している。児童館指導員が不足している。

「総合運動公園建設より、学校の環境改善の方を優先して欲しい」というのは子育て世代の市民の切実な要望。

  • つくば市の某小学校は、児童数が多すぎて、プレハブで授業を受ける状態。
  • つくば市の某小学校は、プールが水漏れのまま放置。学期中は水を漏らしながら水泳の授業を実施したが夏休みは使用禁止。
  • 研究学園は小学校が不足して、一時間以上の徒歩通学児童が大勢。研究学園でさえそのような状況だから、みどりの、万博記念公園の学校新設なんて夢のまた夢。
  • 放課後児童クラブは、半分以上待機児童。(4年生以上も放課後児童クラブの対象となったが、建物はそのままなので、4年生以上はほとんど待機児童)
  • 「市の予算不足のため」児童館の指導員は慢性的な不足状態が続いている(人員削減で現場の指導員の悲鳴を聞いたことがある)。

(以上 http://www.e-mansion.co.jp/bbs/thread/25100/res/973-1023/ など)


もう一つ、象徴的な例。
つくば市北部の9小中学校が無理矢理1つの学校に統合されるようだ。新しい学校の敷地は、1中学校の敷地に少し大きい程度。従って、校庭は、小学生と中学生の同時利用ができない。サッカーと野球の同時使用も無理。

狭いという保護者の声に、 行政はこう言いました。
「これからはねぇ、コンパクトな施設の時代ですよ。
 そんな広いグランドを作って誰が管理するんです?
 誰が草取りするのぉ?その費用は誰が出すんです?」

(以上、http://www.e-mansion.co.jp/bbs/thread/573752/res/69-72/ より)

なぜ運動公園のような、誰が使うのか分からないハコ物には気前よく税金を投入できるのに、教育のための資金はケチるのか?

つくば市教育日本一キャンペーンを高らかに謳っているにしてはさみしい限りだ。

つくば市の公立小中学校の耐震化率は94.7%。これも全国平均を下回っています。しかも、つくば市は国から「早く耐震化を進めろ」と言われる始末
([http://tinyurl.com/ogbwk5z:title=研究学園の生活の記事のコメント欄より)

「予算不足」で道路がデコボコのまま。近所の公園、運動場はボロボロのまま。

つくば市の既存の公園・運動場がボロボロのまま、道路がデコボコのまま放置されている状態で、総合運動公園のために、新たに年間5億円の維持費を出すのは無理だしおかしいでしょう。

 
つくば市で、少しの予算不足で無理と言われた話」については、書き始めると本当に切りがない。市長の言うように、維持費と地方債の返還、あわせて十数億円を毎年余裕で支払える財政状況なら、まず、不足する教育施設、老朽化した公共施設をなんとかして欲しい。

 
 

理由9:なぜ今305億円の総合運動公園が必要なのか?その理由がおかしい

東京オリンピックや国体のため?

つくば市のページ「どうして今,総合運動公園が必要なんですか?」によると、総合運動公園が、今、必要な理由は、東京オリンピック・国体のためだそうだ。

東京オリンピックパラリンピックや茨城国体など,世界的・全国的なイベントが開催予定であり,世界から注目される時期だからこそ,こうした施設があることで,世界や日本全国から施設の活用が見込まれると考えられます。

しかし、

  • 茨城国体の陸上競技ひたちなか市笠松運動公園に決まっている。茨城国体の体操会場だけ決まったが(←議会で建設が承認される前に決めないで欲しい)、水泳も外れた。
  • ラグビーのワールドカップに至っては、市の計画表明の前から開催地はほぼ決まっていた。最終的に発表された開催地にも当然ながらつくばは入っていない。

(以上、http://www.tsukuba.link/archives/31.html より。)

  • 東京オリンピックに間に合わないことは、市長自身も認めていたはずですが。練習を誘致するために300億円?
  • 国体の後はどうするのだろう?

子供のため?

以上は、平成26年までの話。
平成27年(今年)の春に、住民投票の実施が決まると、総合運動公園が今必要な理由として、突然、今度は「こどものため」が前面に出てきた。

Q.どうして総合運動公園が必要なの? どんな効果があるの?
A.子どもたちが感動し、夢を持ち、挑戦できる場の提供のためにも必要と考えます。
・必要性 → 市内小中学生の公式記録会が安全で効率的に開催
広報つくばH27年5月1日号

しかし、市内小中学生の公式記録会のための陸上競技場なら10数億円で立派なものが建設できる。
なぜ、一万五千人以上収容する大競技場が必要なのだろうか?小中学生の公式記録をとるためにそんな巨大競技場は不要だと思うが。

市長によると、次のような構想があるらしい。

つくば市の市原健一市長は
陸上競技場で市内の小中学校53校がまとまった大会を開きたいし、家族や関係者は応援したい」
 と市の計画に理解を求め・・

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150630/CK2015063002000156.html

そもそも、「小中学校53校がまとまった大会」など要らないと思うが・・・。それはさておき、
市長が、どうやって「小中学校53校がまとまった大会」を行うつもりなのか?に興味がある。

市長は、ひょっとして次のような方法を考えているのだろうか?

  • つくば市の小中学校53校の全児童・全生徒を大穂に呼び出す。家族も大穂に集める。
  • ごく一部の児童・生徒だけがグラウンドで競技をする。
  • そして、残り大部分の児童や生徒は1万5千人収容の観客席でまる一日じっと応援する

いや、あるいは、

  • 児童・生徒1人あたり5秒ずつ、高速に競技をする

ということだろうか?

つくば中の小中学生を大穂に集めるだけでも大変だし正直、保護者としても困ります。一部の人を除き、誰も得しないと思うのでやめて欲しい・・。

 
 

理由10:「PTAから総合運動公園建設の要望が出されている」というのがウソ

住民投票の実施が決まってから地区別開催された懇談会では、

  • 総合運動公園の建設について、PTAから要望があった

というフレーズが連呼されていた。
つくば市の広報誌でも

  • つくば市立小中学校の「ほぼ全保護者」が属するPTA 連絡協議会が建設を要望している

ということにいつの間にかなっていた。

私も含め、つくば市で小中学生を子供に持つ人のほとんどは驚愕したと思う。そんな話を聞いたことは一度もないからだ。

この件は、中学校PTAの会長でさえ寝耳に水だったらしい。

Q)総合運動公園について、早期着工についてPTAからの要望が出されているとのことですが、その経緯についてお聞かせください。
 
A)つくば市 PTA 連絡協議会(市P連)として昨年12月に、総合運動公園の早期着工についての要望書が市長に提出されました。でも、PTAの定期的な連絡会では全く話し合われていない内容で、それを聞いたときは「寝耳に水」でした
常陽新聞「昨年度中学校PTA会長 山本直孝さん 要望書「寝耳に水」」より)

実際、PTAからの「総合運動公園を造ってほしい」という要望などなく(それはそうだろう)、エアコン設置の要望などしかなかったようだ。

Q)市報などでも、PTAからの要望があったと説明されていますが、実際のところ、PTAで総合運動公園を造ってほしいという要望はあったのでしょうか?
 
A)皆無です。
4年前から各校からの要望をとりまとめて市に要望書として提出していますが、クーラー設置などが多数で、陸上競技場の話は出ていなかった。今年もどの学校からも要望として出ていません。
そもそも、市議会も真っ二つに割れるような問題を、いろいろな考え方の人がいるPTAがひとまとめにして決めるべきではないと考えています。
常陽新聞「昨年度中学校PTA会長 山本直孝さん 要望書「寝耳に水」」より)

なお、PTAは、以前、公式記録がとれる、10億円程度で建設可能な陸上競技場の要望を出したことがあるようだが・・・

PTAの要望する10億円程度の陸上競技場への市の回答は驚くべきものでした。
3万人収容の陸上競技場を作り、さらに総合体育館や室内競泳プールなどの国際大会レベルの施設を整備するというもので、総事業費は366億円です。
茨城県営の運動公園である笠松をも上回る北関東最大の運動公園をつくば市(人口20万人)の単独事業で作ろうというのです。

特に陸上競技場は第1種であり、サブトラックである第3種の2つの400mトラックを作ります。中学生の市大会を開催するはずが、いつの間にか国際大会も開催できる規模になっているのです!
つくば運動公園計画-住民投票に行こう

その他、「PTAからの要望」の政治利用に関する情報は次のページが参考になる

 
 

理由11:高エネ研~筑波大にかけて大渋滞

総合運動公園予定地近くの交差点は、茨城県における渋滞のメッカの一つである。(参考:研究学園の生活

高エネ研の南の予定地はただでさえ市原病院前の交差点が渋滞するのに運動公園作ったら大渋滞になる。」
ロイ・イッヒマイヤー博士@ichimiyar

西大通りも東大通りも2車線しかなく、現在でも、交通量の多い夕方は渋滞が良く発生する。

総合運動公園予定地へのアクセスはバスか車しかない。
1万5千人規模のイベントがあれば、総合運動公園から南側一帯、例えば、高エネ研から筑波大にかけて、大渋滞が発生するのは必至である。定期的にイベントがある場合、各研究機関の研究活動へのダメージも避けられない。

東大通り大穂交差点北から南に向かう方は、昨日の夕方、相変わらずの数キロの渋滞です。
もしイベントがあったら我々は職場に行くにも、職場から出るのにも多大な迷惑を受けることになります。
@kz_itakura氏のツイートより)

筑波大学も、平塚線から東大通りに出るところの渋滞が大変なことになるでしょう。


 
 

理由12:いちはら病院が、大渋滞と大歓声に囲まれる。入院患者や救急患者が可哀想。

なお、いちはら病院にしても、近くの道路で渋滞が激増するのは病院としてまずくないのだろうか?救急車に乗った救急患者はどうなるのだろう?

そもそも、病院の目の前に、競技場を作って、スポーツイベントやコンサートが夜な夜な行われるというのはどうなのだろう。患者さんが可哀想ではありませんか?

病院施設のとなりで大渋滞やら大歓声やら、病院の環境としても許されるものでは無いと僕は思うんだけど。
by @makotokasai氏

 
 

理由13:パブリックコメントをガン無視した市長に「皆さんの意見を反映したい」と言われてもまったく信用できない

300億を超える総合運動公園の計画について、パブリックコメント(~皆さんの意見を募集します~)が2015年1月31日に締め切られた。

パブリックコメントには、つくば市で過去最多の意見が集まった。もちろん、反対意見が多数。

ところが、パブリックコメントの結果に対し、市長は、

「パブコメは反対する人が出し、賛成の人はあまり出さない」

と言って、せっかく集まった意見をほとんど無視した。

そして、パブリックコメントの締め切りからわずか11日後、市長を中心に、305億円の「総合運動公園基本計画」が正式に設定されてしまった。


最初から無視するつもりなら、なぜ、パブコメを集めるんだ?

 
 

理由14:市長「基本計画の『見直し』を望む人は、基本計画に賛成して欲しい」←???

市長の衝撃的な発言が話題に

住民投票が決まり、市民の反発が公然のものとなった6月のこと。
懇談会で、市長が、次のような「見直し」発言を突然して、各所で話題になった

市長:
事業費を減らして、計画を見直して欲しい人は、
基本計画に賛成を」

 
いやいやいやいや、市長、

「基本計画」には事業費305億円 + 大穂に建設」とある。

 
日本語を読める人なら

  • 事業費を減らしたい人は、基本計画に「反対」
  • 基本計画そのままで建設したい人は、基本計画に「賛成」

以外の解釈はできないはずだ。今回の住民投票は「総合運動公園の基本計画の賛否を問う住民投票」だよ。

 
常陽新聞は地元紙だけあって、このことを良く理解して、冷静に解説している。

もちろん、以上のことを市長が分かってないはずはない。市長も、最近の市民からの猛烈な反発を肌に感じて焦っているのだろう。「見直し → 賛成」という誤った解釈をあえて宣伝することで、深く理解していない人の反対票を削ぎたいのだろう。せこい

あと、市長のやっていることは明らかに住民投票条例の趣旨を無視している。市議会の人には議会で追求して欲しいし、メディアには取材で追及して欲しいですね。
 

住民投票の争点は、今示されている「つくば市総合運動公園基本計画(案)」に対する賛否であって、運動公園建設の賛否じゃない。住民投票で反対多数でも運動公園の建設を否定するものじゃない。改めて考えるということ。
@NKJ_K氏

メディアの方々も、「建設の賛否を問う住民投票」ではなく、「基本計画の賛否を問う住民投票」であることに注意して欲しいです。

 

ちょっと驚く記事 その1:矛盾

毎日新聞 2015年07月20日の記事より,、市長の発言の引用
 
反対が多いと、もう建設できなくなる。計画を見直して建設すべきだと考える市民は『賛成』に投じてほしい」(懇談会での市民向けの発言:第一段落)
 
反対が多かったとしても計画は進める」(会見での記者向けの発言:第五段落)

・・・どっちやねん・・・

まあ、実際は、誰が見ても

  • 「反対が多いと建設できない」 → 住民投票で反対票を減らすための発言
  • 「反対が多くても建設する」 → 本音

なんだよね。

私は、この発言を聞いて以来、市原さんは市長の器ではないと強く思っている。なぜなら、

  1. 意図的に条例違反の解釈をするのは市長として問題があるから。
  2. なにより、このような見苦しい嘘をつく人は政治家の器ではないから。

意見の相違がある政治家がいるのは構わない。
しかし、この手の賤しい嘘をつく人は市長でいるべきではない。
市長のこの言動には本当に頭にきているし許せないと思っている。

 

ちょっと驚く記事 その2:やはり市長は根本的に見直すつもりはない

読売新聞 2015年07月28日の記事に掲載された市長の見解:
 
総合体育館(約85億円)、第2種公認陸上競技場(約69億円)などについては
「(建設の)順番を含め基本的な考え方は修正できない」
と述べ、基本計画通りに推進する考えを示した。

市原つくば市長の「見直し」は、「ほぼ基本計画そのまま」という意味ですね。
肝心の「巨大施設」や「立地」は見直さないのね・・。

ともあれ、市長の「見直し発言」の真意を明らかにした読売の記者さんはグッジョブです。

 

市長「見直し」発言までの経緯

参考までに、これまでの経緯を簡単に紹介する

(1)以前から次のような要望はあった

小中学生の公式記録が取れる陸上競技場あると良いかも。
(筑波大の競技場などで現状しのげているので優先度は低いけど。)

この目的なら、2~3千人収容の競技場で十分なので、十数億円程度で建設可能だ。

(2) 「総合運動公園基本計画」が制定される。しかし、その内容は・・・

  • 1. なぜか1万5千人収容の陸上競技場を含む300億円級の計画
  • 2. なぜか駅から遠いところに建設

(3) 2015年4月17日、市民から一万を超える署名が集まり、「基本計画への賛否を問う住民投票」が本請求となる。さらに、4月26日と5月12日には「噂の東京マガジン(TBS)」でつくば市総合運動公園がTV報道される。
 → 住民の反対の盛り上がりが、つくば市内外で周知のものとなる。

(4)6月、市原市長が突如、「見直し=賛成」説を唱える

 
 

理由15:市長経営の病院で従業員に住民投票の「踏み絵」

住民投票へ向けた踏み絵

市長経営の「いちはら病院」内で、住民投票に賛成する家族や知人の名簿提出が従業員に対して求められたそうだ。従業員は500名を超えるそうだが。

以下、常陽新聞が入手した通知文と、通知文に関する記事:

「先般、職員で協力いただける方に名簿の提出をお願いしたが、
 大変残念な数(約300名)になった」という趣旨で
「家族や知り合いに声掛けし再度名簿」を
28日までに「総務課へ提出」するようを求めている。
常陽新聞より)

これは、一種の踏み絵ですね。500人もいれば、総合運動公園に反対したい従業員はいるはずで、その方たちは、肩身が狭い思いをしているだろう。この手の賛否が分かれる政治的話題に関して踏み絵的なことをするのは良くない。

従業員の方々に同情します。

 

推進派組織がいちはら病院内

ちなみに、運動公園推進派の「スポーツでつくばの未来を拓く会」の住所は、市長経営のいちはら病院の中にある。500人も従業員がいれば、・・以下同文。
@naopi298氏ツイートより)
 
・・・まあ、いいんですけどね。なお、未来を拓く会はこの動画の街宣車でも話題になったことがある。

 

早期着工の要望書が、つくば市スポーツ振興課からスポーツ振興課に提出

ちなみに、総合運動公園の早期着工の要望書を提出した「つくば市体育協会」は、つくば市庁舎の中にある。しかも、事務局は「市民部 スポーツ振興課」。いわば、自分で自分に要望書を出したということだ
(参考:「研究学園の生活」さんの記事]より)
 
・・・まあ、いいんですけどね。

 
 

理由16:「障害者のための施設」と謳いながら障害者からの要望を排除

以下、Togetter「障害児のお子さんを持つお母さんの話」より

懇談会における、障害児のお子さんを持つお母さんの話の抜粋:

  • 障害者支援団体から委員を(基本計画策定委員会に)入れて欲しいと要望したが聞き入れてもらえなかった.
  • 建設後に,結局障害者は利用できないのではないかと感じる.まつりつくばでは,駅前のトイレが封鎖されて熱い中トイレを求めて彷徨った.理由は行政に口止めされたのでここでは言えない.

 

「障害者用の施設は建物の1階が良い。また,障害者は自分の体を見られることに抵抗がある人が多いため,配慮をしっかりやってほしい。障害者用の施設は建物の1階が良い。」
基本計画策定委員会会議録より)

  • 体を見られるのが恥ずかしいなんてうちの娘は思っていない.どうどうと生きて欲しいと思ってる
  • 障害者は展望室には行くなということなのか.スロープを付けるとか考えて頂けないのか.
  • 偉い学者先生の意見なのだろうが,現実を見てもらえてない.
  • 障害者のためのと仰るが,障害者支援団体には何故話を聞きに来てくれないのか.
  • パブコメにも要望を書いた.福祉課の方にもお願いした.
  • 答えは,「専門家の先生を基本計画策定委員会に呼んで意見を聞いたから十分.」「障害者支援団体からの委員も不要.」というもの

 

五頭やすまさつくば市議ブログより
「障害者のための陸上競技場ということをコンセプトに入れておきながら、本当の意味での障害者を代表する方を、策定委員会の意見に反映されていたのか?という問いに対して、市長も弁明をするばかり。うわべだけ障害者のためのコンセプトを露呈したような印象だったな。」

その他、参考になる記事:
運動公園計画 この人に聞く:障がい児の母印宮由紀さん(43)「使えるのはトップだけ」(常陽新聞)

 
 
 

※ 必読情報 ※

その他:

 

「日本が迎える高齢化社会において、重要なのは 一つのどでかい競技場ではなく、小学校や高校大学のスポーツ施設を解放すること・・・」元陸上選手 為末大氏 ブログ

  • 【祝・反対票8割!】:8月2日の住民投票の結果、反対票が何と8割を超えました。研究学園都市つくば、さすがの民度だと思いました。住民投票の結果には法的拘束力はないのでまだ油断はできませんが、とりあえず良かったです。